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早稲田大学商学部2020年分析/三段論法活用

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――本文のテキスト表示は今後修正予定――

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ふくしま式で文学・評論を読み解く!
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2020/04/22 No.52

早稲田大学商学部2020年の問題をもとに因果関係整理の基礎を学ぶ!━━━━━━━━━━━━━━━━━━

当塾は3,4月あわせて5回しか授業を行っていませんが(緊急事態宣言等で授業ができず)、その貴重な5回に行った授業について、今号ではリポートします。

それは、今年(2020年)2月に行われた早稲田大学商学部の入試問題。

と聞くと、教職でない方々からすれば「え~難しそう、やりたくない」と思うかもしれませんが、それほどではありません。
河合塾その他予備校は、そろって「易化した」と評しています。
もちろん大学入試ですから、文章は「スラスラ読める!」というほど易しくはありませんが、私はこれを新中1(小6)以上の生徒に解かせました。けっこうできた小6もいました。
そもそも、内容的に、「やらせないわけにいかない」ものだったのです。
文章冒頭から、まさに『22の鉄則』102ページにも載せている、かの有名な三段論法の典型例(人間は死ぬ/ソクラテスは人間だ/ゆえにソクラテスは死ぬ)が登場するからです。
これは読ませておきたい、と思ったわけです。
(なお、三段論法の基本パターンは非常にシンプルですから、小学生でも(小学校の教室でも)十分指導可能です)

問題等については、以下で入手できます。

☆早稲田大学商学部(公式サイト)
(4/22現在UPされていませんが近日UPと思われます/通常3年分がUPされているので、2022年までの間掲示されるはずです)
https://www.waseda.jp/inst/admission/other/2020/03/11/8970/

☆河合塾サイト
(一定期間がすぎると削除されますのでご注意ください)(問題は産経新聞サイト上にあります)
一覧 https://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/20/w08.html
問題 https://nyushi.sankei.com/honshi/20/w08-31p.pdf
解答 https://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/20/w08-31a.pdf
分析 https://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/20/w08-31c.pdf

扱うのは、大問1のみです。
ぜひ事前に解いた上で、今号をお読みください。
ただし、解説するのは問三、五、九のみですから、それだけ解くのでもかまいません。

なお、今号のテーマである三段論法については、既に過去の当メルマガでも扱ったことがあります。

【No.28 授業したての三段論法 基礎トレーニング問題17個とその指導法】
 ─因果関係整理の最重要技術!─
 2018/04/25配信
 バックナンバー → http://www.mag2.com/archives/0001671587/2018/4

ぜひ、ご参照ください。

それでは、目次です。

─────《目 次》─────
見出しをコピペ・検索すると、その項目へジャンプできます。

【1】早稲田大学商学部2020年の問題をもとに因果関係整理の基礎を学ぶ!
◆出典を見ることで文章全体の内容を推測する
◆答えがあるならば、そこには無理のない筋道がある
◆三段論法の基礎「包摂(包含)関係」とは?
◆三段論法における「前件否定の誤謬推理」とは?
◆「3密」の図に浮かんでくる疑問

【2】質問コーナー
◆「7つの観点」と「動・静」「有形・無形」の観点はどう違う?

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【1】早稲田大学商学部2020年の問題をもとに因果関係整理の基礎を学ぶ!

◆出典を見ることで文章全体の内容を推測する

ご多分に漏れず、「まずは出典を見よ」という原則から実行します。
すると、『修辞的表現論』とあります。
修辞法、すなわちレトリック。
レトリックについては当メルマガでもだいぶ扱ってきましたが、最も分かりやすいレトリックは「比喩」です。

となると、この文章は、どうやらガチガチの論理の重要性を訴える文章「ではない」ということが分かります。
文章の冒頭から三段論法の紹介になっているため、ともするとガチガチなのかなと思ってしまいますが、違うのです。
注意深く読めば、冒頭に次のような記述があるため、そのことは推測できます。

A 論理的な推論
B 語用論的な推論
C 主観的・飛躍的な推論

これ、分かりやすく説明すると、こうなります。

A 論理的
B やや非論理的
C 非論理的

つまり、だんだんと非論理に向かっていく流れなのです。

どんな文章も、「一般論」から始まってだんだんと主張(筆者独自の主張)に近づいていく構造を持っています(鉄則12:世の主張という主張は逆説の構造を持っている)。
ですから、この文章は実は「非論理性」の中にある価値について語ろうとしているんだろう、ということが、冒頭からうっすら分かる──はずなのです。

その証拠に、(7)の例の前、「しかし」の段落では、次のように述べています。
「人間の思考、判断の創造性の観点からみるならば、この種の推論の能力が、言葉の創造性、意味の世界の創造性において重要な役割を担っている」

◆答えがあるならば、そこには無理のない筋道がある

さて、文章全体の流れについて説明したところで、設問をピックアップしてみていきます。

━━<問三解説>━━

これは、「演繹」を知っているかどうかで解くスピードが変わります。
よく知っていれば、迷わず正解はイだと分かります。
もちろん、消去法でロハニを消してもよいのですが(実際、そうやって解いたという生徒もいました)、それでは時間がかかります。

単純に言えば、まっとうな三段論法を「演繹(演繹的推論)」と呼ぶのです。
まっとうな、というのは、前提が正しければ必ず(100%)結論も正しくなる、ということです。

詳しくは、当メルマガ必須教材『評論文キーワード100』の48、49ページに、演繹・帰納について書かれていますから、そちらをお読みください。

まっとうな演繹的推論の中身については、あとで具体的な短文を通して解説します。ひとまず、次の問いに進みましょう。

━━<問五解説>━━

空欄の前後を抜き出します。

【形式論理学の演繹的な三段論法の推論は、二つの前提の主語の[ IV ]関係に基づく推論とみなすことができる】

これが分かることこそ、今回のメルマガの主眼と言ってもよいでしょう。
答えは「包摂」。
意味としては「包含」でもかまいませんが、抜き出しなので「包摂」になります。

まず、先に述べたまっとうな三段論法、すなわち演繹的推論の基本を、おさらいします。

┏━━三段論法の典型例━━━

┃大前提:人間は死ぬ。
┃小前提:ソクラテスは人間だ。
┃ 結論:ソクラテスは死ぬ。

┗━━━━━━━━━━━━━

さて、先に抜き出した文の「二つの前提の主語」とは、この場合、「人間は」と「ソクラテスは」です。
ですから、人間とソクラテスの関係が分かれば、この問五は簡単です。
それは、言うまでもなく、抽象・具体の関係です。

人間という枠組みの中に、ソクラテスが含まれる。

(抽象) (具体)
 人間 > ソクラテス

ということです。当たり前ですが。

つまり、「包含」。文中では「包摂」。

なんのことはない、簡単な問いです。
念のために書くと、先に抜き出した文の直前に、「小前提の主語(ソクラテス)は、大前提の死ぬ運命にある存在の集合に包摂されるという推論が成立することになる。この点で」とあります。
もはや、「包摂」以外ありえませんよね。

しかし、授業では、「なんとなくの思いつきで」空欄を埋めてしまった中高生が多く、残念でした。
多かったのは、「因果」あるいは「論理」という答案。
これでは全く意味が通じません。

書かれている文に忠実に、字面どおりに意味をとらえていく。
それこそが、読解のスタートであり、ゴールです。

入試読解問題に、「なんとなくの思いつき」で答える問いなど、あろうはずがないのです。答えが決まっているのですから。

答えがあるはずだ。
ならば、無理のない筋道があるはずだ。

そう考えるのが、「字面どおりに」読むということです。

ただ、字面どおりに読もうとしたが「包摂」の意味がイマイチ分からず、「思いつき」に頼ってしまったという子もいたはずです。
包摂という言葉はあまりなじみがないですから、しかたない気もします。
しかし、「包」という一字に注目すれば、意味を推測できたはずです。

また、実は他の設問の中にヒントもありました。
問八の選択肢ロの文に、「主語における包含関係」とあります。これ、わざわざ文中の「包摂」を「包含」に言いかえているんですね。
そうでないと問五の答えになってしまうからです。
問八まで進んだとき、「あっ」と気がつき、問五に戻って直したような子は、セーフだったというわけです。

◆三段論法の基礎「包摂(包含)関係」とは?

━━<問九>━━

今回の早大商学部2020大問1では、これが最も正解しづらい問いでした。
実際、各予備校も、この問いを「やや難」などと評していました。
当塾の生徒たちも、正解率は2割以下となりました。

しかし、素直に考えれば、実は非常に単純な問いです。

「素直に」とは、「法則にのっとって」ということです。
「法則」とは、ここまでに出てきた三段論法のこと。
とりわけ、問五で扱った「主語の包摂関係」です。

では詳しく見ていきましょう。

●命題A 設問1に○をつけた人は、設問2にも○をつけた。
●命題B 設問3に○をつけた人は、設問1にも○をつけた。
●命題C 設問2に○をつけた人は、設問4にも○をつけた。

これ、実は、次の文と同じ構造です。

●命題  ソクラテスは、人間である。

つまり、主語の包摂関係。
このことに気づけることが、第一歩でした。
命題Aだけ、言いかえていきましょう。

「設問1に○をつけた人は、設問2にも○をつけた」
「設問1に○をつけた人は、設問2に○をつけたグループに含まれる」
「グループ1は、グループ2に含まれる」
「1<2」

ということです。
他の命題も同様に考えていくと、こうなります。

●命題A 1<2
●命題B 3<1
●命題C 2<4

これを総合すると、こうなります。

3<1<2<4

図にすると、こうなります。

┏━━━━┓
┃4   ┃
┏━━━┓┃
┃2  ┃┃
┏━━┓┃┃
┃1 ┃┃┃
┏━┓┃┃┃
┃3┃┃┃┃
┗━┛┛┛┛

このように整理しさえすれば、イ・ニをすぐ除外できます。
イは4<3、
ニは2<3
とありますから、図に反します。

ただ、ロ・ハ・ホについては、ちょっと迷ってしまいますね。
否定が含まれるからです。

1~4の数字で解説していると分かりづらいので、具体的なことがらにしてみましょう。

┏━━━━┓
┃生物  ┃
┏━━━┓┃
┃哺乳類┃┃
┏━━┓┃┃
┃人間┃┃┃
┏━┓┃┃┃
┃女┃┃┃┃
┗━┛┛┛┛

選択肢ハは、「3でないなら1でない」と言っています。
これは、上図では「女でないなら人間でない」と言っていることになります。
そう言われれば、「あ、全然違う」と分かりますね。

選択肢ホは、「3でないなら4でない」と言っています。
これは、上図では「女でないなら生物でない」と言っていることになります。
これも、「全然違う」と分かりますね。

選択肢ロは、「4でないなら3でない」と言っています。
これは、「生物でないなら、女でない」となります。
これは、正しいと言えます。

ということで、答えはロです。

◆三段論法における「前件否定の誤謬推理」とは?

なんだか狐につままれたような気がしているかもしれません。
そこで、さらに論理的な技術として一般化しておきましょう。

それは、
━━━━━━━━━
前件否定の誤謬推理
━━━━━━━━━
というものです。

まずは、以下4つのパターンをごらんください。
それぞれの3つの文は、大前提・小前提・結論、の順に書かれています。
また、「AならばBである」の「A」を前件、「B」を後件と呼びます。
(  )は、意味を分かりやすくするための補足です。

【1:前件肯定】《正しい》
型)AならばBである。Aである。ゆえにBである。
例)雨ならば中止である。(今日は)雨である。ゆえに中止である。

【2:前件否定】《正しくない》
型)AならばBである。Aでない。ゆえにBでない。
例)雨ならば中止である。(今日は)雨でない。ゆえに中止でない。

【3:後件肯定】《正しくない》
型)AならばBである。Bである。ゆえにAである。
例)雨ならば中止である。中止である。ゆえに(今日は)雨である。

【4:後件否定】《正しい》
型)AならばBである。Bでない。ゆえにAでない。
例)雨ならば中止である。中止でない。ゆえに(今日は)雨でない。

型だけをピックアップすると、こうなります(スマホで見づらい場合は横向きに表示してください)。

      大前提     小前提    結論
前件肯定◯…AならばBである。Aである。ゆえにBである。
前件否定×…AならばBである。Aでない。ゆえにBでない。
後件肯定×…AならばBである。Bである。ゆえにAである。
後件否定◯…AならばBである。Bでない。ゆえにAでない。

大切なのは、《正しくない》ものに引っかからないようにすることです。
正しくないのは、【2】と【3】。
そのうち【3】は、引っかかりようがありません。
「雨ならば中止である。中止である。ゆえに今日は雨である」
中止だから雨降ってるはずだ、と言われても、そんなはずないでしょ、と笑って終わりです。
つまり、後件肯定の誤謬には、引っかからないことが多いのです。

引っかかるのは、【2】です。

「雨ならば中止ですよ。でも今日は雨が降ってません。だから中止じゃないはずでしょ?」

そう言われると、ちょっと戸惑ってしまうのではないでしょうか?
でも冷静に考えれば、「大地震で中止」とか、「電車が止まって参加者が全員遅刻したので中止」とか、いくらでもほかに理由は考えうるわけであり、「雨」だけを理由に「中止ではない」と言い切ることはできないでしょう。

これを、「前件否定の誤謬推理」と呼ぶのです。

型をおさらいします。

前件否定×…AならばBである。Aでない。ゆえにBでない。

よく覚えておきましょう。
さて、ここで早大の問いに戻ります。

┏━━━━┓
┃4   ┃
┏━━━┓┃
┃2  ┃┃
┏━━┓┃┃
┃1 ┃┃┃
┏━┓┃┃┃
┃3┃┃┃┃
┗━┛┛┛┛

3<1<2<4

3ならば1。
    1ならば2。
        2ならば4。

このとき、次の選択肢の正否はどうなるでしょう?

選択肢ハ「3でないなら1でない」
選択肢ホ「3でないなら4でない」
選択肢ロ「4でないなら3でない」

ハ)
「3ならば1」を前件否定にしたのが、これ。
「3ならば1。3でない。ゆえに1でない」。
これは典型的な前件否定の誤謬推理ですから、間違いです。

ホ)
命題A~Cに直接「3ならば4」とは書いてありませんが、図を見ればそれが正しいのは一目瞭然。
で、これを前件否定にしたのが、このホです。
「3ならば4。3でない。ゆえに4でない」
これもやはり、典型的な前件否定の誤謬推理です。

ロ)
これは、いまホで述べた「3ならば4」について、後件否定にした形。
「3ならば4。4でない。ゆえに3でない」
ということです。
これを思い出してください:
後件否定◯…AならばBである。Bでない。ゆえにAでない。
ですからこれは、正しいわけです。

問9は、こうした抽象的な「型」を、具体的な例にあてはめていくことができるかどうか、すなわち「具体化力」を試す問いでした。

具体化の問いというのは、多くの場合、難易度が高くなります。
なぜなら、抽象化のプロセスを正しくできていないと、たどりつけないからです。

鉄則15の次の例を思い出してください。

具体的な比喩)サルも木から落ちる
それを抽象化)名人でも失敗する
さらに具体化)イチローでも三振する

この3つめは、2つめの「名人でも失敗する」ができていないと、不正確になりがちです。
もちろん、情報処理能力の高い人の中には、「具体→抽象→具体」というプロセスではなく、「具体→具体」という言いかえを正確にできる人もいます。
しかし、多くの人はそういうレベルではありませんから、しっかり抽象化し、それをまた具体化するということが必要になります。

入試問題では、具体化設問はたいてい終盤(問9とか問10とか)にきますが、それはこうした理由に基づくことなのです。
問8までの「抽象化」を正確にできれば、問9もクリアできるよ。
ということなのですね。
設問とは、そのように「設計」されているわけです。

◆「3密」の図に浮かんでくる疑問

ところで、昨今よく耳にする言葉に、「3密」というのがあります。
これを示した図について、私は若干の疑問をいだいています。
つい先日のYouTubeでも語りましたので、まだの方はごらんください。
https://www.youtube.com/watch?v=8ePkF_VpZ7M

ここで言っていることは、今回の隠れテーマである「包摂」の例として有益です。

密集<密接

動画では、よく整理する前にさらっと説明し始めてしまったので、後半混乱してグダグダになっています(笑)。
福嶋でもそういうことがあるんだな、と笑ってあげてください。
今号でとりあげた論理的技法は、「型」としては非常にシンプルではありますが、ひとたび具体的な「意味内容」を帯びたとたん、分かりにくさもはらむようになってしまうわけです。

だからこそ因果関係整理はハードルが高い。
私のどの問題集でも、因果関係(たどる力)に割いたページが少ないのは、実はそういうわけなのです(問題集全体の難易度を上げすぎないようにしたいのです)。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【2】質問コーナー

◆「7つの観点」と「動・静」「有形・無形」の観点はどう違う?

私が指導の中でいつも重視している「観点」についてのご質問です。
非常によく勉強されているからこそのご質問。
まさに、すぐれた観点でとらえた内容ですので、ここでご紹介します。

━━━━━━━━━━━━▼
『日本語の活かし方』(2015/6)では、真似できる技術その17で、「観点」を高める捉え方として、
「無形、空間、時間、目的、手段の観点」が登場し、
『国語授業力を鍛える』(2015/12)では、独自性を判定する5つの基準として、
「静的観点→動的観点
具体的観点→抽象的観点
有形の観点→無形の観点
物理的観点→心理的観点
常識的観点→逆説的観点」
が出てきました。
そして『「本当の語彙力」がグングン伸びる本』(2016/2)で、
7つの観点
「時間、空間、自・他、心理、五感、目的・手段、プラス・マイナス」
が出てきて、その後も福嶋先生が繰り返し使用されているので、7つの観点という言葉で整理されたのだと解釈しているのですが、私個人の理解があいまいです。
特に7つの観点と静的観点・動的観点の関係どう説明すればいいのか明快な答えを持てずにいます。
有形・無形の観点は7つの観点の中に内包されている(例えば、空間の観点は有形の観点でもあるなど)が、静的観点・動的観点はまた別の枠組であると解釈しているのですが、いかがでしょうか。
━━━━━━━━━━━━▲

答えは、『「本当の語彙力」がグングン伸びる本』の中にあります。
私が初めて「7つの観点」を明確に著書に記した本です。

第1章の最後に、私はこう書いています。

━━━抜粋━━━━━━━▽
「観点というものが役立つのは分かったが、それは事実上、無限にあるのではないか?」
そう、そのとおりです。
そのすべてを網羅することは、到底できません。
しかし実は、多くのものごとに対して普遍的に使える観点というものが、いくつかあるのです。
━━━━━━━━━━━━△

「観点」というのは無限にあります。
ですから、「動・静」も「有形・無形」も、「7つの観点」とは別物として扱ってよいのです。

もちろん、文脈により、「有形・無形」が「空間」と重なることもあるでしょうし、「動・静」が「時間」と重なることもあるでしょう(たとえば、動的イメージには「速い」、静的イメージには「遅い」といった意味合いも感じられます)。

「7つの観点」は、あえて「7つ」という枠組みを設けることによって意識化しやすいようにしたというだけのこと。

それとは別に、動静、有形無形といったさまざまな観点を用いることができれば、それに越したことはありません。

反対語の数だけ、対比の観点は存在します。
それが問いの答えです。

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